坊守のつぶやき

2020.07.20  信仰

先日浄土真宗とは違う宗教を信仰しておられる方が数名でお寺を訪ねてこられました。

浄土真宗の教義についてお聞きしたいとのことでした。

浄土の教えは、死んだ先に浄土へ生まれることを説かれていますよね。浄土というところが本当にあると思っておられますか。今生きているものの悩みに答えてくれる教えではないんですか。そんな内容の話から始まりました。

短時間でのやり取りですべてをお伝えすることはとても難しいことでしたが、「多くの宗教、宗派があり、それぞれ歩む道は違いますが、浄土真宗の教えは、愚者(愚者と自覚した者)が仏と成らせていただく教えです」と住職はお伝えしました。

今はご往生された楢崎正道先生がご法座でいつも口にされていたお言葉が、数日たってふっと思い出されました。

「仏に成らせていただく身となるということは、人間死んだらどうなるのか、何のために生まれてきたのか、何のため生きるのかに、納得満足のいく答えをいただくということです。そして人生最期の時に、生まれてきてよかった、生きてきてよかったと、私の人生幸せだったと言えるかどうか、ということです。」

信仰とは、教義の是非を争うものではなく、それぞれの人生の問いに答えをいただくものだと思いました。生きること、死ぬこと、その問題の解決を、今ここでいただく、それが目的であると思いました。

 

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